夏から秋にかけて開催される花火大会の写真をミラーレスカメラや一眼レフカメラで綺麗に撮影する方法を紹介します。
今回は、灯台と花火を一緒に撮影する写真を撮る方法を例に紹介します。
花火を撮影するに必要なもの
完成イメージ
完成イメージがない状態で撮影すると、どんな構図が良いかな?と思って、カメラを調整してる間に花火が終わる可能性もありますし、何を撮りたかったのか分からない写真になる場合もあります。
構図について、分からないときは、SNSやピンタレストなどで花火を検索して良いと思うものを見つけてください。
完成イメージがあれば、後は、それに近づけるために必要なことを調べたら良いので失敗が減り、時間の効率が良いです。
花火の撮影で一番重要なのは、撮影前に完成イメージ(構図など)をもつことです!
カメラ(ミラーレスカメラ、一眼レフカメラ)
センサーサイズは、APS-Cとフルサイズなどありますが、一般の人がSNSにアップしたもの見ても画質の違いは分わかりません。
ただし、大きいサイズで写真を使う予定なら、センサーサイズの大きくて画素数が多いカメラが良いでしょう。
フォーカス、ISO感度、F値(絞り値)、シャッタースピードがマニュアルで設定できるカメラなら、ミラーレスカメラ・一眼レフカメラのどちらでも大丈夫です。
レンズ
レンズは、撮影する場所によって焦点距離が変わってくるので気をつけましょう。
花火に近い場所で撮影するなら、広角レンズが必要ですし、離れた場所から撮影するなら中望遠レンズや望遠レンズが必要になります。
そして、現行のカメラであればレンズキットのレンズでも十分撮影できますが、くっきりとシャープな画像で撮影したい場合は、高価なレンズが良いでしょう。
レンズは、基本的に画像の中心にピント合わせても、画像の外側へいくと像が伸びたり、ボケたりすることがあります。
高級なレンズは、そのような現象にならないように対策されたりしているので高価なのですが、そこは予算もあるので、そんな事があるんだと知っておくと手持ちのレンズの限界が分かります。
それと、撮影する場所に街灯や車の出入りが多い場所などの場合、ハレーション対策でレンズフードを付けておくと良いでしょう。
撮影する場所に適した焦点距離のレンズを使って、レンズフードを付けて街灯などのハレーション対策をしましょう。
三脚
花火撮影で三脚は重要です!
手持ちで撮影する人も居ますが、手ブレやノイズのない写真を撮るために三脚は必です。
三脚はカメラを載せても、揺れないような安定しているものを使いましょう。
そして、三脚の中には脚以外に高くするためエレベーターという物が付いてるタイプがありますが、微妙に安定しない物などあるので基本的には使わない方が良いです。
三脚はカメラを載せても安定しているものを選び、手ブレしないためにも三脚を使いましょう。
レリーズ
カメラを三脚に固定してもシャッターを押すと、微妙に動いて手ブレの原因になる場合があります。
また、花火が上がって消える迄の間、シャッターを開けるように、カメラ本体のシャッターを押さずに撮影できるようにレリーズを使います。
もし、レリーズが無い時はセルフタイマーを使う方法がありますが、花火のタイミングに合わせるのが難しいので、あまりおすすめしません。
レリーズは、バルブ(ボタンを押してる間だけシャッターは開いてる機能)があると、花火が上がって消える迄の間の時間が調整できて便利です。
手ブレ対策でレリーズを使います。できれば、バルブ機能があると時間の調整ができて便利です。
その他
花火の打ち上げ開始時間と打ち上がる時間を事前に調べましょう。
周囲の通行禁止時間なども事前に調べておくと、スムーズに撮影場所へ行けるので事前調査はおすすめです。
また、長時間の撮影になる場合、キャンプ用のコンパクトに収納できるイスなどがあると楽に撮影できるので便利です。
そして、蚊に刺されない虫除け対策も大事です。こちらの記事では、実際に使って効果のあった虫除け対策グッズと使い方を紹介しています。
花火を撮影する手順
ロケハン(事前の場所選び)
完成イメージを元に、構図を考えながら場所を探します。
明るい時間帯に撮影できそうな場所をまわって、三脚を置いても沈まないような足場の良い場所を探しましょう。
当日は、最低でも撮影の1時間前に行って場所を確保して撮影準備をします。場所取りがあるような人気の場所のときは、もっと早めに行って撮影場所の確保をしましょう。
当日の準備
撮影当日は忘れ物が無いように準備を前日にしておくと良いです。
- カメラ本体
- レンズ
- 三脚
- レリーズ
- バッテリー(充電を含む)
- 空のメモリーカード
その他、防寒対策や撮影場所への地図、車で行くときは駐車所の場所などを事前に調べて準備しておくと良いでしょう。
撮影
撮影は、最初に安定した場所に三脚を設置したら、カメラにメモリーカードを入れてフォーマットします。
フォーマットすることで、メモリーカードにエラーがある場合、撮影前に知ることができます。
メモリーカードがフォーマットできたら、カメラを三脚に取り付けます。
三脚にカメラをセットしたら、撮影する方向を雲台を操作してカメラを水平にセットします。
カメラレンズに手ブレ機能スイッチがあるときは、スイッチをオフにして、AF/MFスイッチがあれば、MFにします。
次に、カメラにレリーズを取り付け、シャッターが切れることを確認します。
バッテリーの残量を確認して、撮影中にバッテリー切れにならないか確認します。
そして、撮影する画像サイズを一番大きいサイズに設定して、撮影後は現像するので、RAWデータも保存できるように設定します。
編集(現像)
撮影したRAWデータを現像します。
現像は、簡単に方法でするので、部分的な補正などしません。今回は、Adobe Lightroom Classic でRAWデータを現像します。
Photoshopでも良いと思いますが、Photoshopは、RAWを取り込むときに調整して取り込む為、後日、RAWの修正や変更をする場合、取り込みから、やり直すことになります。
Lightroom は、取り込んだ後に調整するようになっているので、後日、再度取り込みしなくて、そのまま修正や変更をすることができるので、RAWを現像するならLightroomが、おすすめです。
そして、Lightroomは、LightroomとAdobe Lightroom Classicの2種類がありますが、2つの違いは、クラウドにデータが保存されることと、機能の多さです。
Lightroom は、クラウドにデータ保存されるため、後でスマホで見ることができて、簡単な編集ができます。
Lightroom Classicは、編集するPCにデータが保存されるため、クラウドにデータは保存されません。そして、Lightroom よりも機能が多く慣れると細かな現像が可能です。
クラウドへの保存は便利で、追加料金を払えば容量を増やせますが、毎月の出費が増えるので、Adobe Lightroom Classic の方がコストや機能面を考えると一択になると思います。
現像後、RAWデータは外付けHDDとAmazon Photoなど2ヶ所で保存しておくと、バックアップにもなるので、おすすめです。
Amazon Photoは、JPGやRAWデータを保存しても容量にカウントされないので、今のところ無限に保存できます。
しかし、クラウドサービスは、Googleドライブのように、写真データの保存は無制限だったものが、終了することも考えられるので、保存の予備として利用する位が無難だと思います。クラウドサービスをメインに使っていて、サービスが終了すると大変になるのでメインは、外付けHDDなどを利用しましょう。
カメラの設定
花火を撮影するカメラの設定を紹介します。
今回は灯台と花火を一緒に撮影する写真を例に紹介します。
撮影モード
カメラの撮影モードは、全てマニュアルで操作するので「M」にします。
マニュアル撮影だと、微調整しながら撮影できるので、毎回明るさが違う写真になりません。
ホワイトバランス
最近のカメラは、ホワイトバランスをオート(自動)にしてても、良い感じにしてくれますが、自分で設定しておくとJPGでもいい感じの色合いにすることができます。
花火を撮影するときは、色温度を3000Kくらいに設定すると良いでしょう。
設定方法が、分からないときや自信がないときは、オートホワイトバランスでも良いです。
ISO感度
ISOは、固定で50~100にします。
ISOを上げると空の暗い部分にザラザラとしたノイズがでて残念な仕上がりになるので、できるだけ下げた設定にします。
ピント合わせが暗くて難しいときは、ピントを合わるときだけISOを上げてもいいですが、ピント合わせが終わったISOを下げておきましょう。
F値(絞り値)
F値は、F8〜F11で固定にしておきます。
基本的にレンズは、F8〜F11が一番くっきり、キレイに撮れる絞り値です。
そして、今回のように花火と灯台のどちらもボケずに撮るためにF値は高めすると良いです。
フォーカス(AF/MF)
フォーカスは、MF(マニュアルフォーカス)にします。
ズームレンズを使っている場合は、完成イメージの構図になるように、三脚の雲台を操作して方向を決めてカメラを水平に固定し、ズームリングを回して構図を決めてから、ピント合わせます。
ファインダーを覗いてピントを追わせる時はときは、事前に視度調整しておきましょう。
視度調整なしで、ファインダーでピントを合わせてもボケる可能性があるので、調整が必要です。調整は、ファインダーを覗いて設定値などが一番くっきりと見えるように、調整ダイヤルを回して調整しましょう。
それから、最近のミラーレスカメラは、ピントを合わせるためにフォーカスリングを回すとピントが合わせやすいように一時的に画像がズームして、ピントが合わせやすくなっています。
しっかりと花火にピントを合わせて、キレイな花火を撮影しましょう。
シャッタースピード
シャッタースピードを固定にすると、花火が打ち上がったときから消えるまでの時間が読めないので、できるならバルブで撮影します。
バルブは、レリーズでボタンを押してる間、シャッターは開いたままになるので花火が打ち上がるときから消える間の時間が調整できるので便利な機能です。
しかし、レリーズよっては、バルブができない物などあるので、バルブ撮影できるレリーズを購入しておきましょう。
バルブが無い時は、何度が花火が打ち上がるのを見て時間を測ってシャッタースピード設定して、セルフタイマーで撮影します。
三脚でカメラを固定してても、カメラ本体のシャッターを押したら手ブレする場合があるので、手ブレをしないためにセルフタイマーで撮影する方が、おすすめですが、セルフタイマーはシャッターを切るまでにタイムラグあるので、打ち上がる音や高さを見ながら調整するしかないので、応急処置として使いましょう。
カメラの設定調整
花火が明るくなり過ぎて、白飛びしないように調整します。
白飛びした花火は、現像で調整することができません。ですから、花火が白飛びしないようにカメラの設定を調整します。
花火が白飛びしてる場合、最初にシャッタースピードの時間を短くすると白飛びしなくなります。
もし、複数の花火が打ち上がっているところを撮りたいときは、最初にISOを50にして、それでも白飛びするときは、F値を少し上げて調整します。
調整する時は、まず、灯台の明るさは気にせずに花火が白飛びしないことだけを注意して調整しましょう。
カメラの設定は、花火を大きさ、花火の明るい時間、花火との撮影場所の距離、カメラのセンサーサイズ、レンズやレンズフィルターなど取り付け状態などで変わるので、冷凍食品の電子レンジで温めるように、誰でも同じ決まった設定などありません。
そこで、基準になる設定値を覚えておいて撮影した画像をチェックしながら微調整するしかないのが実情です。
ときどき、撮影後の現像で、「どうにでもなる」と聞きますが、花火の場合、白飛びしたものは、どうにもなりません。
ですから、撮影時に現像できる範囲を知っておき、撮影でできるだけ完成イメージに近いものを撮影しないと失敗することになります。
撮影後の編集(現像)方法
撮影後、RAWデータを現像します。
今回は、Adobe Lightroom Classic での簡単な調整方法を紹介します。
オリジナルの画像
RAWデータを何も編集しない状態の画像です。
これから、この画像を編集する手順を紹介します。
ハイライト
左側にある灯台が見えないので、灯台が見えるように露光量を増やすと花火が明るくなり過ぎます。(露光量+2)
そこで、花火の明るさを下げて、灯台が見るようにするため、ハイライトを下げます。(ハイライト-100)
ハイライトを下げたら、花火の明るさが落ちるので、露光量を上げて灯台と花火が見えるように調整します。
これで、灯台と花火が見えるようになりました。
シャドウ
露光量を上げすぎると、花火の煙などが目立つようになるので、シャドウを上げて灯台が見えるように調整して、露光量を下げるように調整します。(シャドウ+100、露光量+1.5)
色温度
花火の近くの雲や煙が、花火の色に近い場合、色温度は少し下げて調整します。(色温度3000→2750)
下げ過ぎると全体的に青くなり過ぎるので、注意して調整ください。
コントラスト
シャドウを上げて、コントラストを下げると灯台は見やすくなりますが、全体的に明るくなって花火の印象が弱くなります。
逆にコントラストを上げると花火だけが強調されて、灯台が見えなくなるので、微調整くらいにしておくと良いでしょう。
比較明合成
複数の花火の写真を合成する方法を紹介しています。合成することで、花火を華やかに見せることができます。
こちらの記事ではPhoroshopを使って詳しく、比較明合成する方法を紹介しています。
まとめ
花火をキレイに撮影するには、撮影と現像がセットと思って考えておくと良いでしょう。
撮影だけで、完成できたら良いのですが、難しいことが多いです。
高価なミラーレスカメラや一眼レフカメラを持っているなら、現像に挑戦してランクアップを目指すと、良質な写真ができるので、もっと撮影へのモチベーションが上がると思います。
また、カメラの設定は、持ってるカメラやレンズや撮影する場所で変わるので、本やネットで紹介されてる設定値を鵜呑みにして設定しても、ほぼ失敗します。
絞りは、F8〜F11、ISOは、50〜100を基準に撮影しながら設定値を調整して、自分のカメラでベストな撮影設定値を見つけるしかありません。
ベストな設定値を見つけたらメモなどして、経験値アップしていきましょう。