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【宅録の基本】自宅でナレーションを収録するための準備

2020-12-17

【宅録の基本】自宅でナレーションを収録するための準備

家でナレーションを録るお仕事は、YouTubeの漫画や広告のナレーション、企業広告のナレーションなど、案件が増えてきました。コストや納期の関係で従来どおりスタジオで収録できる案件が少なくなったためです。

また、コロナ禍で在宅ワークやテレワークとして宅録ナレーションで対応することも、案件が増えた要因です。

私は、YouTubeで毎日動画をアップして半年で数百万再生したチャンネルのナレーションを収録して編集をやったり、オーディオブックや企業用VPのナレーションなどを宅録でやってきた経験から、自宅で収録できる宅録ナレーションの方法を紹介します。

興味あるけど機材はどんなのがいいのか?どうやって収録すればいいのか?という疑問に答えてきたいと思います。

宅録環境

宅録の環境

まずは、宅録ナレーションで最低必要な機材を紹介します。

そして、最近では音質面でノイズの除去などのパソコンでないと難しい案件が多いので、スマホ録音は紹介しません。また、Chromebookもスマホ録音と同様なので紹介しません。

WindowsかMacを使ったパソコンでの録音環境で紹介します。

パソコン

パソコンは、WindowsでもMacのどちらでも大丈夫です。もし、お持ちのパソコンがあれば良いでしょう。
しかし、パソコンのOSが古くて録音ソフトが対応できないときは、OSをアップデートするか買い替える必要があります。

また、パソコンは立ち上がって動作が安定するまで多少の時間がかかるので、収録する前は早めにパソコンを立ち上げて反応がスムーズになるまで待ちましょう。

もし、パソコンの動作が安定する前に収録を始めると、録音したデータの書き込みが間に合わなくて録音が止まるなどのトラブルが発生する可能性があります。

収録前は早めにパソコンを立ち上げてサクサクに動作するようになってから、収録を始めましょう。

録音ソフト

録音ソフトは、とりあえずであれば、フリー(無料)のソフトで問題ありません。今は高性能のDAW(音楽のレコーディングに使うソフト)の機能が限定されたものが無料で使えるので、使ってみると良いでしょう。

無料のDAWは、ProTools FirstStudio One Primeなどがプロも使っているソフトの機能が限定されたものが提供されています。基本的な操作方法は有料版と変わらないので操作で困ったときは、ネット調べるとたくさんの情報が見つかるので、おすすめです。

しかし、無料のソフトでは録音後の編集で音を大きくしたり、音質を補正する便利な機能少なかったり、機能が無かったりするので、仕事などで録音するなら有料のソフトを購入しておくことを、おすすめします。

また、こちらの記事では7種類の録音ソフトについて特徴など詳しく紹介してます。

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マイク

宅録環境

最初に買うマイクは、ダイナミックマイクという種類のマイクがいいでしょう。カラオケ屋さんで見かけるタイプのマイクです。ダイナミックマイクは頑丈なのでマイクの使い方に慣れまで使うと良いでしょう。

USBマイクは、オーディオインターフェイスが内蔵されていて手軽に使えるマイクですが、安いUSBマイクは、Windowsのパソコンで使えるASIOドライバーが無かったりするので、仕事で使うには音質の保証ができません。ですから、今回は紹介していません。

ダイナミックマイク

SHURE BETA57Aは、クリアな音質が特徴のダイナミックマイクです。ラジオ局などで、DJやMCが使っているマイクなので、ナレーションでもおすすめのダイナミックマイクです。

コンデンサーマイク

ダイナミックマイクに慣れてきたら、コンデンサーマイクに買い換えるといいでしょう。
コンデンサーマイクは、ダイナミックマイクに比べて感度が高く小さな音もひろう精密なマイクなので丁寧に扱う必要があります。

それと、コンデンサーマイクは湿度に弱いマイクなのでデシケーターという湿度や温度を一定に調整してくれる保管庫などで保管しましょう。

デシケーターや、コンデンサーマイクの使い方を詳しく解説してるのでコンデンサーマイクが気になる方は、こちらの記事を参考にしてください。

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MXL990は、安価でコンデンサーマイクの中でもかなり頑丈なので、最初のコンデンサーマイクに選ぶと良いでしょう。

オーディオテクニカ AT2020は、癖がなく素直な音が収録できるマイクです。

ナレーションやボーカルの録音のどちらでも使えるマイクです。

MXL 2003Aは、ナレーション・アフレコ・ボーカルの録音で使われるノイマンU87をモチーフにしたコスパの良いマイクです。

ノイマン TLM102は、ノイマンの中でも一番安価なマイクですが、プロもナレーションやボーカル、楽器の収録で使っているマイクです。

トランスを内蔵してないので小型なのも特徴です。

ノイマン U87Aiは、アニメのアフレコや、ボーカルの収録などで頻繁に使われているマイクですが、かなり高価なマイクです。

ポップガード

それと、コンデンサーマイクには口から出る風をマイクに当たらないようにするポップガードが必要になります。金魚すくいの「ポイ」みたいな形をしているものです。

口の前に軽く手をあてて、「ぱぴぷぺぽ」と声に出して読んでください。口から出た息が手にあたったと思います。それが、ポップと言われるもので、口から出る風です。

ポップがマイクにあたると、ボソボソした音になり明瞭に声を収録できないので、コンデンサーマイクにはポップガードが必要になります。

そして、金属製のポップガード拭いたり洗うことができるので清潔に保つことができます。

マイクケーブル

マイクケーブルは、少し長めのものを選びましょう。

パソコンにマイクが近いとパソコンが本体の冷却のためにファンが回るとマイクで音を録ってしまう可能性がありますし、配線は長いほうが取り回しが良いのである程度長さに余裕を持っておきましょう。

それと、マイクケーブルで音質が変わるので良質のマイクケーブルを選ぶことをおすすめします。

モガミ 2534は、プロのスタジオなどで使われている高音質のマイクケーブルです。

カナレのマイクケーブルは、耐久性に定評があるマイクケーブルです。

ライブハウスやプロのライブでも使われているので耐久性と音質は良いケーブルです。

そして、マイクは手持ちで使えないのでマイクスタンドを準備しましょう。

マイクスタンド

マイクスタンドは「ストレートタイプ」より「ブームタイプ」のものがおすすめです。ブームタイプは、角度が自由に調整できるタイプのスタンドなので、かなり低い位置から高い位置までマイクを設置できて、ストレートでも使うことができるタイプです。

そして、マイクスタンドのメーカーは「TAMA」がおすすめです。

もともと、ドラムのメーカーなので楽器を支えて固定できるように、マイクもしっかりと固定できるのが特徴です。収録中にマイクの重さで、マイクが下がったりすることがなく耐久性も良いです。

オーディオインターフェイス

マイクでとった音声をパソコンで処理できるデータに変換してくれたり、ヘッドホンなどで音を聞くことができる機器です。

パソコンにUSBで接続できるタイプが良いでしょう。
コンデンサーマイクの使うのであれば、48Vのファンタム電源が供給できるものを使います。

そして、Windowsのパソコンを使うときはASIOドライバーがあるものを選びましょう。

Windowsパソコンに何もオーディオインターフェイスのドライバーをインストールしないで使うことができるものは、音質が悪く録音時にタイムラグが発生して使いものにならない場合があります。

ここで紹介するオーディオインターフェイスは、WindowsのASIOドライバーが付属してるものなので、インストールして使えば安心です。

Macは、CoreAudioという最初からインストールされているドライバーが優秀なので、いきなり差し込んで使えても何も問題ありません。

USBタイプのオーディオインターフェイス

フォーカスライトのオーディオインターフェイスは、中音域が少し特徴があるオーディオインターフェイスなので声の収録には、おすすめです。

DAWソフトのProTools Firstと、Ableton Live Liteが付属しているので、すぐに収録を始めることができます。

Presonus Studio 26cは、前面にマイクの入力レベルが確認できるので音量調整が簡単でクリアな音質が特徴です。

そして、DAWソフトのStudio One ArtistとStudio Magicプラグインが付属しているので、収録をすぐに始めることができるオーディオインターフェイスです。

UR22Cは、宅録初心者によく使われてるオーディオインターフェイスです。

DAWソフトのCubase AIが付属しているので、すぐに録音を始めることができます。

YAMAHA AG03は、配信などでよく使われてるオーディオインターフェイスですが、収録もできます。

しかし、クリアな音質ではなので録音向けとしては、おすすめできません。

ヘッドホンやスピーカー

収録中の音を確認したり、録音の後に編集したりするときに使います。

実は、このモニターが機材の中で一番大事な部分になります。もし、良いマイクを使ってもモニターが悪いと良い音か悪い音か聞き分けることができないので、録音後の編集作業が困難になります。

ですから、ヘッドホンやスピーカーは低音域から高音域まで確認できるものを選んでください。

モニターヘッドホン

ヘッドホンは、モニターヘッドホンで音が外に漏れにくい密閉型タイプが、収録中に聴いている音が漏れてマイクに戻らないので、おすすめです。

MDR-CD900STは、ナレーションなど収録中で使うには問題ないですが、録音後の整音など編集するときに使うのは、あまりおすすめしません。低音域が弱いので低音域のノイズチェックが難しいからです。

HPH-MT8は、高域・低域もしっかり聴こえる高音質なヘッドホンなので、音楽制作でも十分使えるヘッドホンです。

AKG K271MK2は、海外のスタジオなどで使われてるヘッドホンで、ケーブルが脱着できるのでケーブルが断線しても簡単に交換できます。

そして、ヘッドバンドがスイッチになっていて装着してないときは音が出ないので、ちょっと首にかけて録音してもヘッドホンから音がでないので、ちょっと便利なヘッドホンです。

モニタースピーカー

スピーカーは、モニタースピーカーを使いましょう。モニタースピーカーは、ノイズや音質がわかりやすいスピーカーなので、編集するときには便利です。

また、スピーカーは絶対に必要なのか?と思うかもしれませんが、ヘッドホンとスピーカーでは音が違います。プロのスタジオにスピーカーが数種類あるのも、スピーカーの大きさによって音が変わるからです。

小さくてもモニタースピーカーがある方が良いですが、準備や設置が難しい場合はヘッドホンで頑張りましょう。

IK Multimedia iLoud Micro Monitorは、Bluetoohにも対応しているスピーカーです。

有線でも使えて持ち運びできるサイズなので省スペースで使えます。

MSP5は、定評があるモニタースピーカーでナレーションのチェックや音楽制作でも使えるスピーカーです。

また、完成した音はスマホなどで確認すると良いでしょう。それは、聴いてくれるユーザーと同じ環境でチェックするのが、ユーザーが聞く音質でチェックできるからです。
もし、スマホのイヤホンを持っていれば試してください。完成したものは、ユーザーと同じ環境でチェックするのが、間違いないからです。

ノイズ対策

声を録音するとわかるのが、部屋で反響している音や、口の中の唾の音、服や身につけているアクセサリーの擦れる音など、日頃気がつかない音がたくさん聞こえてきます。

部屋の反響は、毛布をかぶって録音すると反響音がなくなりますが、毛布をかぶって録音するのは暑くなりますし、大変なので現実的ではありません。そこで、リフレクションフィルターを使うと良いでしょう。部屋の反響音をかなり軽減してくれます。

リフレクションフィルター

リフレクションフィルターは大きめのものがマイクを囲って調整できるので、おすすめです。

ノイズ除去ソフト

iZotope RXは、ノイズを除去できるソフトですが、使いすぎは音質が悪くなるので収録のときからノイズをできるだけ収録しないように注意すると良い音になります。

録音時の注意点

身につけているアクセサリーで音がなりそう物は外しておきましょう。

服は擦れても音がでない生地の服を着ておきましょう。

宅録の流れ

宅録の準備

パソコンと録音ソフトの起動

パソコンは、前もって起動して動作がスムーズになるまで待ちます。
動作がスムーズになったら、DAWを起動します。

マイクのセッティング

オーディオインターフェースをパソコンに接続します。続いてマイクをマイクスタンドに設置してマイクケーブルをつなぎます。

マイク→オーディオインターフェース→パソコンの順で接続ができたら、DAWでマイクからの音声が届いているか確認します。届いていれば接続と設定は完了したので収録できます。

コンデンサーマイク使うときは、こちらの記事で詳しく使う手順を解説しています。

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ナレーション収録

原稿は前もって読んでおきましょう。読み方が分からないところや苦手なところはチェックして練習しておきます。
声は、安定した声を出せるように収録前に発声しておきましょう。

そして、収録中は原稿をめくる音など、ノイズはマイクから入らないように気をつけて収録します。

収録中、ノイズに気づいたら、できるだけ録り直しすることを、おすすめします。

音声編集

音声の編集は一番難しく思うかもしれませんが、基本的には

  • 滑舌や声を明瞭に聞こえるように調整
  • 読み間違いや不要なセリフのカット
  • 間の調整
  • ノイズの除去(リップノイズ、ポップノイズ、歯擦音、エアコンなどのフロアノイズなど)
  • 音量の調整

などの整音といわれる作業を行います。

セリフのカットや間の調整はDAWで処理できますが、ノイズの除去は、AIで高性能な処理をしてくれるソフトを使うといいでしょう。

ボリュームの調整は、DAWなどで聞きながらできるだけ音質が変わらないように大きくできるところまで、大きくしましょう。

宅録で気をつけること

子供の音

宅録は、外からの車やバイクの音、飛行機や電車、電話の着信音、ペットや子供の声など、さまざまな外部からの音が発生する可能性が高いです。収録する時間帯を考えたり家族に協力してもらいながら、地道な対策を積み重ねていきましょう。

まとめ

宅録は設備を揃えるのは大変ですが、慣れてくれば自分のペースで進めることができて、声を出すことでストレス解消もできるお仕事です。そして、年齢関係を気にすることなくできます。

学生の頃に放送部や演劇部だった方や、声優に憧れていた方など少しでも声の仕事に興味があれば挑戦してみませんか?

声を必要とするお仕事は増えているので挑戦してみましょう。

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